配管材質の種類と用途
配管に使う金属には、炭素鋼や合金鋼・ステンレス・アルミニウム・銅などに添加物を配合した素材を使います。これらを用いた配管の材質と用途を以下に示します。
炭素鋼鋼管
炭素鋼を素材とした配管です。「炭素鋼」は、鉄と炭素の合金で、炭素の含有量によって強度や腐食性を変えることができます。他の素材に比べて安価なので、液体・気体を問わず、さまざまな流体の配管に利用されています。
名称 | 略号 | 規格の概要 |
黒瓦斯管 | SGP | 亜鉛めっきの有無に応じて黒管(亜鉛めっきを行わない)と白管(亜鉛めっきを行う)に区別される。 |
白瓦斯管 | SGPW | 配管用炭素鋼鋼管に亜鉛めっきを施し、耐食性を上げた鋼管。空調・消火・排水・工業用水などの水配管に使用される。 |
圧力配管用炭素鋼鋼管 | STPG370 STPG410 | 圧力配管に用いる。亜鉛めっきの有無に応じて黒管と白管がある。 |
配管用アーク溶接炭素鋼鋼管 | STPY400 | 低圧の蒸気・水・ガス・空気などの配管に用いる |
合金鋼鋼管(合金鋼管)
炭素鋼にクロム、ニッケル、モリブデンなどを添加した「合金鋼」を素材にした配管です。これら合金元素の配合によって、低温・高温への耐久性を変えることができます。他の素材に比べて低温・高温に強いため、熱交換用の配管システムや、加熱炉などで利用されています。
名称 | 略号 | 規格の概要 |
配管用合金鋼鋼管 | STPA(高温)STPL(低温) | 高温用と低温用(氷点下)の2種類があり、用途に応じて使い分ける。 |
ボイラ・熱交換器用合金鋼管 | STBA | 熱伝達用(配管内部の流体と外部の間で熱交換を行う)に用いる。 |
低温熱交換器用鋼管 | STBL | 内部流体が氷点下で熱交換を行う場合に用いる。 |
ステンレス管(ステンレス鋼鋼管)
ステンレス鋼は、10.5%以上のクロムを含んだ合金鋼です。ステンレス、ステン、SUS(サス)などと呼ばれることもあります。金属表面にクロム・鉄合金の不動態皮膜を生成するため、優れた耐食性を示し、耐食材料として広い需要があります。長所は、炭素鋼よりもさびにくく、強度に優れ、リサイクルが可能な点です。短所は、高価な点です。配管用ステンレス鋼管には31種類あり、それぞれに耐食性、耐低温性、耐高温性などの特徴があります。代表的なものに、オーステナイト系(SUS304TPなど)、オーステナイト・フェライト系(SUS329J1TPなど)、フェライト系(SUS405TPなど)があります。
よく用いられる配管用ステンレス鋼管は、JIS G 3448:2016一般配管用ステンレス鋼管で規格されています。SUS304TPD、SUS315J1TPD、SUS315J2TPD、SUS316TPDの4種類があり、給水、給湯、排水、冷温水などに用いられます。
アルミ管
アルミニウムの軽く錆びにくい特徴を活かした配管です。純度99%以上のアルミニウムは強度が低いため、ジュラルミンなどを添加して、強度を高めて使用します。主に、熱交換器や船舶などの配管に利用されています。
銅管
水や土に対する耐食性に優れた銅を素材にした配管です。亜鉛、スズ、金、銀などを配合することで、幅広い強度を持たせることができます。また、殺菌作用もあるため、エアコンの空気や冷媒などの流体の配管から飲料水の給水管まで、幅広く利用されています。
材質は配管仕様を確認
配管材質は通常配管仕様に全て記載されています。絶対読み違いや間違いの無いように気を付けましょう。
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配管仕様
配管仕様とは? 配管仕様とは、配管の材料を細かく規定した仕様書の事ですよ。 具体的には ...
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